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8. ツクバ系の人々

『Cape-X』 Mar.& Apr. 1996 掲載

中村理恵子

 

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筑波大学といえば、郊外にある殺風景な学園都市。娯楽施設や文化の香りの薄い地にある国立大学というイメージで、一時マスメディアの餌食になっていた。しかしこれは、とんでもない誤解かもしれない。最近この地から「ツクバ系」という才能豊かな一群が現れはじめたのだ。今回は、その一人、モリワキヒロユキさんにパソコン通信上のボードを使って、オンライン公開インタビューを試み、ツクバ系とはいったい何者なのか?その謎に迫ってみる。

●x月x日
モリワキさん、こんにちは。さて、先日、わたしは、明和電機(株)兄弟の存在を初めて知りました。そしてこれもはじめてなんだけど、「ツクバ系」だったか「ツクバ派」だか、新しい学閥の台頭といいますか、アートの流派の発生を目撃したおもいです。だって、モリワキさんもツクバ系なんだもんね。そういわれてみると近ごろ、筑波系って目立っていませんか?例えば、ウゴウゴルーガの岩井俊夫さん、アメリカへ移住して活躍する原田大三郎さん、大衆には小林幸子の電飾衣装で有名。通(ツウ)にはモリワキットで人気のモリワキさん。それに前述の明和電機(株)兄弟。わたし(告白)、筑波大学はお勉強できる子系の、味も素っ気もない大学と思ってました。しかし、この現象はいったいどうしたことでしょう?大学付近の豊かな自然環境が影響したんでしょうか?それとも並外れて非常識で魅力的な先生がいましたか?あるいはモリワキさんの卒業年度に前後して、ひとかたまりのヘンな人たち(へんというのは、わたしの最上級の誉め言葉です)が集まっちゃったんですかね。わたしの推測できる範囲なんてこんなもんです。そこで、せっかく、本人達が生きてるんだもの。ぜひ、渦中にいる人からその発生と原因についてお聞かせ願いたいと思ったわけです。
中村理恵子

●y月y日
中村さんから、つんつんされてました。一度には書ききれないけど、じゃ、「つくば系」についてかいてみますか?「シブヤ系」に比べると、どうもイメージがダサイなあ。 原田大三郎、庄野晴彦、岩井俊雄、明和電機の他にもまだいますよ。たとえば、河口洋一郎とか、さがせば、ナムジュンパイクの奥さんの久保田成子なんていうのも、大先輩です。あと、僕の同級生では、伊藤尚未('93ARTECグランプリ)とか、いつもいっしょにやってる、松村泰三。あ、G.O.N伊藤(ICC-Net*の住人)もそうだ。伊藤俊治編集「NUDE」のエディトリアルで有名な、鈴木成一さん(グラフィック関係の人なら、知ってるよね)や、コンピュータゲーム界では、石原亘さんもそうですね。でも、あげてみれば、こういう人以外はみんな他の大学なんだから、あんまり大したことではないと思う。けれど、中村さんが言うように、ツクバのある時期は、確かに何かがあったと思ってます。
    モリワキヒロユキ

次号につづく。
注}*ICC-Net NTT/ICCが運営するパソコン通信ホスト局

(Mar.1996)


 

 

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