1996/12/16  jaja 劇作家



(夢)街中で初老のおっさんと知り合う。ゴマ塩頭の小柄な人。劇作家だと名 乗りしゃべってると面白いし、翌日は東京に帰るというけど、私もたまた ま明日東京出張の用事があるので、じゃ新幹線をご一緒しましょうかとい う話がまとまる。しかし朝の新幹線まではまだずいぶん暇がある。そのあ いだに、彼のお芝居を見せてもらうことになる。

 で、二人で天神橋筋商店街からそのまままっすぐミナミのほうへ下りて いく。昔の大阪をよく知っている人らしく、沿道の解説をいろいろしてく れるのだが、よく聞いてみると出鱈目が多い。「ここには昔ナニワという 菓子屋があったんですよ」「えっ?ここは確か昔からこのお店だったん じゃないですか?菓子屋なら向こうの四つ角にあったような気がするけど」 とか、「このあたり一帯が昔は魚市場でねえ・・・」「いや魚市場は道を 1本隔てた向こう側にあったような気がしますけど」といった類。間違い を指摘しても「そうでしたかな」とかってとぼけている。

 そうこうしているうちに、彼が寄食しているという下宿屋に着く。学生 下宿らしい。平面図を見せてくれて、「このアミがかかっているところが いま空き室なんですよ。よろしければいかがですか?」。図を見ると、中 庭に面した細長い部屋と表通りに面した四角い小さな部屋と、その二つの 部屋に接する建物の端っこの三角の部屋が空いているらしい。

 で、建物の中に入る。彼の取り巻きに囲まれてお茶を飲む。その時点で 彼は、髪の短い30代くらいの女性になっている。で、取り巻きの学生達に 言うには「今日の夜は○○(有名なレストラン)でフランス料理よ。わた しが全部おごるわ」。で私に向かって「××さんも参加なさいよ。会費た だなんて機会、年に一度ぐらいしかないのよ」。「僕も参加していいんで すか?」(私も男子学生の一人になっている)「いいわよいいわよ。」  それから別の部屋に移り、彼女のお芝居をひとつ見せてもらう。(内容 は忘れた)。でまた、二つ目の芝居を見せてもらうのだが、また別の部屋 に移らなければならないというので、まるで昔の旅館のように迷路のよう なその下宿屋の中をあちこち移動する。階段をのぼったり降りたり。  その時点で、劇作家はやせた中背の頭を(つるつるでなく高校球児てい どに)剃った30代くらいのラフなセーター着たあんちゃんになっている。 そして家は、学生下宿でなく娼家になっている。あちこちに踊り子兼娼婦 がいる。劇作家は彼女らに適当に挨拶しながら通り抜けていく。階段の下 のところにピンク映画のポスターが張ってあるのを見て、劇作家「うわあ こりゃマジでやってるなあ」。SM映画らしいその絵を見てやらせではなく ナマ本番のSMプレイだと言っているのだ。そこから短い階段をとんとんと あがって小さな部屋に入り、そこでまた彼のお芝居を見せてもらう。

 その部屋の中央に水槽があり、そのなかで演じられる劇。主人公の男が 何かちょっとした動き(または言葉)をしたことに、水の中の魚が一尾反 発し、その反発が広がって魚が爆発的に殖え、大勢で男を集中攻撃する。 あわや・・・と思われたところに、魚一族に反発する カエル一族(?ではなかったかも。とにかく魚ではない生きもの)が生まれ、魚に対抗 するように爆発的に殖える。男は魚対カエルの闘いのあいだを縫って(そ れでもカエルに守られながら)ほうほうのていで水からあがって、地上に 戻る。といったストーリー。私は、男が水から離れるやいなや彼を追って いた魚があっさり彼をあきらめるのが納得できない。魚が水から跳ね上 がったりしてもよさそうなものなのにとか思っている。

 でお芝居が終わったのでもとの短い階段を降りて楽屋に戻る。私はいつ のまにかその娼家の古手の踊り子になっている。この家を支配しているジ ゴロ(背が高く肩幅が広く白人風の派手な目鼻立ちをしたいい男)がその へんに立って、若い踊り子(ちょっと線が細く頬にホクロなどがあって男 に媚びるのがうまいタイプ)を抱いていろんなところに軽くふれながら、 彼女の機嫌を取っている。古手の踊り子である私は嫉妬を感じながらも、 あいつは誰にだってあれなんだから(女の機嫌を取るのは専ら功利的な理 由でそうするだけだし、だいいちあたしだってああやって抱いてくれるこ とはあるんだから)なんて自分で自分をなだめている。そして、舞台用に 派手にカールした髪の毛にヘアスプレーの泡を思いっ切りつけてなじませ ながら、前に坐った別の(やはり古手の)踊り子と世間話をしている。

以上


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